高齢者の2人に1人は、夜間、お手洗いのために目が覚めてしまうといいます。
夜間、2〜3回以上トイレにいくような場合(夜間頻尿)には、不眠を訴えることが多いです。
ここでは、高齢者の夜間頻尿(お手洗い覚醒)時の血圧上昇、転倒などの予防法をご紹介します。
高齢者の夜間頻尿による危険性
この夜間頻尿(トイレに行くための覚醒)による不眠の原因は、老化による膀胱容量の減少、睡眠機能の低下により軽度の覚醒刺激でも睡眠の中断が生じる場合、男性の前立腺肥大症による残尿量の増加など、さまざまな原因が知られています。
また、睡眠の機能も老化し、睡眠の維持が困難になる場合もあります。
一般に、高齢者では浅い睡眠が増え、わずかな覚醒刺激でも目が覚めてしまい、なんとなく心配でトイレに行ってしまう場合も多いものです。
血圧の上昇に注意
寝具の中の温度は、寝床内温度と呼ばれており、一般に冬季でも33℃前後になっています。冬季に寝室内の室温が10℃以下になるような地域では、寝床内と寝室内の温度差が20℃を越え、急激な血圧上昇を引き起こします。
睡眠中は、覚醒時と比べ血圧が低下しており、強い寒冷刺激による急激な血圧の上昇は、循環器系や脳に障害がある高齢者にとっては危険です。
経済的な余裕がある場合には、心臓や脳に負担をかけないためにも暖房器具等を利用して寝室や卜イレ、廊下を適度な室温に保っておく方が安全でしょう。
高齢者の夜間頻尿を改善しよう
また、睡眠中の中途覚醒時には、血圧は低下しており、深部体温も低くなっています。
さらに、筋の緊張も睡眠の働きで低下しており、姿勢制御に関連する頭頂連合野や小脳の働きも低下しています。その上、大脳皮質の機能も睡眠からの覚醒直後には、大幅に低下しています。
トイレに行く際に転倒して骨折しやすい理由
転倒予防の運動をしていても、お手洗い覚醒時に、わずかな段差や置や布団の端に躓(つまづ)いて転び骨折してしまうことが多いのは、バランスを崩しやすく防御姿勢がとれず、転倒した場合に緊張した筋による衝撃の吸収ができないためです。
そのため、骨へ直接衝撃が加わったり、不自然な姿勢で転倒することが多くなるのです。
高齢者の夜間の転倒を予防する方法
対処法としては、覚醒直後(目覚めてすぐ)にトイレに行かず、数分間布団の上に座り、血圧の上昇と脳機能の回復を待つのが望ましいです。ですが、この場合には完全に目が覚めてしまい、再び入眠することが困難になるという難点を持ちます。
寝具の場所からお手洗いまで、躓(つまづ)きの原因となるような障害物を完全に無くし、毎晩就床前に確認する習慣を付けることも有効です。
そしてなるべく就寝直前にお手洗いをすませる習慣を持つとともに、何より、夜間頻尿を改善することで危険率は大幅に低下します。
食生活などの生活習慣を改善して夜間頻尿を元から断つことが、夜中にトイレに起きたときの夜間の血圧上昇や転倒による骨折を防ぐ一番の方法です。
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