腹圧性尿失禁(くしゃみや咳での尿漏れ)に効く運動や治療薬は?

くしゃみや咳での尿もれ「腹圧性尿失禁」

尿のトラブルというと、頻尿や残尿感といった症状があげられますが、女性の場合は尿失禁に悩まされているかたも多いのではないでしょうか。

尿失禁には腹圧性や切迫性など、いくつかのタイプがありますが、最も多いのが、腹圧性の尿失禁です。

腹圧性尿失禁とは

女性と失禁

一般的に、妊娠や出産をへた中高年の女性がなりやすく、女性の3〜4人にー人は尿失禁に悩まされていといわれています。

また、太りすぎの人、出産を経験したばかりの女性も腹圧性尿失禁になりやすいといわれています。というのも女性はもともと尿道付近の筋肉が弱いのですが、肥満ぎみのかたはさらに筋肉に重みがかかつてしまうので、ふとした拍子に尿をもらしてしまうからです。

たとえば、くしゃみや咳をしたときや急に重いものを持ち上げるときなど、下半身に力を入れたときに尿はもれやすくなります。

軽度であれば、日常生活にさほど支障はないかもしれませんが、悪化すると高いところに手を伸ばしただけでももらしてしまうこともあります。

こうなると、気持ちが悪いだけでなく、外出やちよっとした動作にも不安がつきまとい、日常生活を満足に過ごすことが困難になってきます。

腹圧性尿失禁の改善には

こうした腹圧性の尿失禁を改善させるには、尿道を締めている括約筋を鍛える必要があります。

尿道の括約筋だけを鍛えるのはむずかしそうに思うかもしれませんが、やり方はとても簡単です。だれでも手軽に自宅で実践することができます。

肛門と膣を締めると尿道の括約筋も締まる

じつは、女性の尿道を締める筋肉は、膣や肛門を締める筋肉と連動しています。

つまり、ひとつを締めれば、自然とほかも締まる仕組み。ですから、尿道の括約筋を鍛える際は、膣や肛門を締める卜レーニングをすればいいというわけです。

お尻すぼめ運動のやり方

尿道を締めている括約筋を鍛えるトレーニングは、その名も「お尻すぼめ」。

お尻すぼめ運動のやり方です。

  1. あおむけになって、お尻のふっくらとした部分をへこませるようなつもりで、キュッと力を入れて肛門を締めます。
  2. 10回力を入れたら、15秒休むというのを1セッ卜にして、 これを毎日5セットほどやります。

寝る前など、ふとんの上でやるとよいでしょう。現往、尿失禁がないかたでも、出産を経験しているかたや太っているかたは予防のために、このお尻すぼめを実践されることをおすすめします。

余裕のある方は歩いているときや電車の中で立っているとき、座っているときなどでも構いません。

早い人で1か月程度で効果が現れてきます。なかなか効果が出なくても3か月は続けることをおすすめします。

なお、このお尻すぼめを3か月以上つづけてもまったく効果がみられなかったり、尿意を感じたとたんもれてしまう、失禁に痛みを伴うという場合は要注意。腹圧性の尿失禁ではなく、切迫性の失禁の可能性があります。

また、膀胱炎などの炎症がもとで失禁を起こしている場合もありますので、そういった場合は、すぐに泌尿器科で検診を受けてください。

併せて、骨盤底体操も有効です。骨盤底体操についてはこちらをごらんください↓

参考【動画あり】女性の頻尿・尿漏れは骨盤底筋体操で解消しよう!

腹圧性尿失禁に使われる薬

スピロペント

腹圧性尿失禁に用いられる薬剤としては、スピロペント(帝人ファーマ)という内服薬がもっともよく使用されます。

これは、膀胱に作用するのではなく、尿道の出口に作用してそれを締める働きをします。つまり、骨盤底筋を強く締めるための薬です。

尿道の出口周辺の筋肉は、交感神経に支配されています。スピロペントは交感神経のβ繊維と いうところに作用し、尿道の出口の筋肉を強く縮めさせるものです。

この薬を飲めば、腹圧性尿失禁の症状はかなり良くなりますが、注意しなければいけない点 は、この薬を飲むだけでは根本的な治療にならないということです。

腹圧性尿失禁は底筋が弱くなってゆるんでいることから起きるわけですが、薬で筋肉を縮めても、これを鍛えることにはなりません。ですから、これの服用を止めると、また尿失禁が起こってしまいます。そこで、スピロぺントを服用して症状を軽くしながら、その間に尿失禁体操などで治していく必要があります

筋肉を鍛えることに関しては、薬だけではだめです。鍛えることは別の手段でやらなければなりません。

ですから、腹圧性尿失禁の場合、このページで紹介したお尻すぼめ体操や、骨盤底体操で根本的な問題を解決する必要があるのです。

スピロペントの副作用

スピロペントの副作用は以下の通りです。

  1. 過敏症状(発疹(ほっしん)、かゆみなどのアレルギー症状)やアナフィラキシー様症状

  2. 動悸、不整脈、血圧の上昇、ほてり、頭痛、手の震え、不眠、めまい、ふらつき、耳鳴り、神経過敏、興奮、ねむけ、倦怠感(けんたいかん)、吐き気・嘔吐 (おうと)、のどの渇き、排尿困難、血清カリウム値の低下、皮膚粘膜眼症候群、過敏性症候群、顆粒球・血小板減少、呼吸抑制、肝機能障害など

薬の場合、多少なりとも副作用が現れることがあるので、運動、体操をしながら補助的に飲むなら、副作用のない、尿もれを改善させるサプリメントを飲むなどの方法もあります。

スピロペント以外の薬

スピロペント以外には、ミドドリン(メトリジン)も使用されます。ミドドリン(メトリジン)は膀胱頸部、前立腺組織、尿道の平滑筋に作用し尿道抵抗を上げる作用があります。

エストロゲン薬

女性の下部尿路はエストロゲンによって養われているため、閉経後のエストロゲン欠乏により尿道粘膜が萎縮し、弾性力が低下するため、尿道内圧の低下が起きます。

したがってエストロゲン薬も有効となります。

腹圧性尿失禁の薬の副作用が気になるなら

上記に紹介したスピロペントなどの医薬品にはやはり副作用がつきものです。

以下のページには、薬を服用せずにサプリメントで尿漏れを改善した体験談があります。薬を使わずに自分で尿失禁を改善したいという方は、こちらのページも参考にどうぞ。

参考サプリメントで尿漏れを改善した体験談

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