女性の頻尿や残尿感の原因はさまざまです。
女性の頻尿や残尿感は、膀胱炎や腎盂腎炎などの疾患が原因になっていることも多いものです。
このページでは、女性の頻尿や残尿感の原因になる病気を解説します。
目次
様々な原因で起こる女性の頻尿や残尿感
腎臓や尿路の病気がない女性でも、正常の腎機能の場合にも頻尿は認められます。
例えば、飲料水を大量に摂取した場合です。この結果は多尿になり、頻回に卜イレ通いが必要になります。
また、糖尿病や尿崩症、腎不全の利尿期などの病気の場合にも、多尿による頻尿がみられます。このような場合には頻尿と同時に、1回の尿量も比較的多いことが特徴となります。
これに対して、尿量が比較的少ないのに頻尿となる場合もあります。例えば、膀胱の容量が少ないときです。タンクの容量が少なければ、すぐに満杯になってしまうため、トイレに頻繁に行って、タンクを空にする必要があるからです。
この原因にはさまざまな病気の結果、二次的に膀胱内の容量が減少すると膀胱自体の容積は変わらないのに膀胱の外からあるいは中からのなんらかの圧力因子により、実質的な膀胱の内部貯溜容積が減少していることか原因である場合とに区別できます。
結核による萎縮性膀胱炎といわれる慢性の炎症性の疾患とか、放射線治療を受けて膀胱が萎縮した放射性膀胱炎などが前者の代表です。後者は膀胱内に大きな結石が存在するとか、あるいは、膀胱が周囲の臓器などの外部因子により圧迫されて、膀胱の容量が二次的に減少してくる場合などがその例です。
妊娠が原因の頻尿
妊娠した女性が頻尿になる理由は、大部分が肥大した子宮により膀胱が圧迫されることに関係したものです。
巨大な子宮筋腫や直腸の腫瘤の場合にも膀胱が圧迫されることにより妊娠と同様の機序で、頻尿となります。
妊娠時の頻尿は正常の反応ですから心配はいりませんが、もしも妊娠していないのにこのような頻尿があれば、その原因を探る必要があります。
このタイプの頻尿では、尿を排泄するときには、特に痛みなどの症状を伴うことはないのが特徴です。
膀胱神経の過敏症が原因の頻尿
神経性の頻尿は膀胱神経の過敏症により排尿回数が増加するもので、精神的なス卜レスや緊張があまりにも続くときなどに生じることがあります。
試験の始まる前になると、必ずトイレに行きたくなる人はこの好例です。
この神経性頻尿では、睡眠中には頻尿は認められないことから、その他の原因と区別することができます。さらに排尿を司る筋肉や神経の異常によっても頻尿が認められます。
膀胱を支配する神経の機能不全により膀胱の不随意筋が収縮するために出現する神経因性膀胱の場合や膀胱利尿筋の過剰反射によるものがあります。
少しの刺激により膀胱利尿筋が反応して、すぐに排尿感が生じるもので、前立腺疾患(前立腺肥大症や前立腺腫瘍)や膀胱炎が原因となります。
膀胱炎や前立腺妖患による頻尿の場合には、1回に排尿する尿量は少ないこと、排尿のときになんらかの症状(排尿痛や違和感、残尿感など)を伴うことが一般的になりますから、原因をある程度推測することができます。
例えば、頻尿の場合には排尿痛があるかどうかは原因を探るうえで重要なことです。
女性が罹りやすい膀胱炎での頻尿や残尿感
蜜月性膀胱炎
新婚ほやほやの女性ではさまざまな尿に関係した問題が出現します(最近では必ずしも新婚時に限ったことではなく同様のことが起こり得ますが)。
解剖学的に睦の近くに位置している外尿道ロにも、当然この影響が及び、汚染されて、簡単に細菌感染を起こしてしまうことになります。
このようなタイプの膀胱炎は別名、蜜月性膀胱炎(honey moon cystitis)という正式の医学用語になっているほどです。事を至すときには、まず男性の局部は清潔に、局部だけでなく手指も清潔にすることが大切です。
新婚旅行で、このような蜜月性膀胱炎にでもなってしまったら、楽しいはずの思い出深いはずの旅行も、苦痛の、くたびれる旅行になってしまいます。
度々のトイレ通いに加えて、発熱、腰痛、排尿時痛、しぶり尿の状態になってしまいます。
急性の膀胱炎の治療
急性の膀胱炎であれば、原因となる細菌に感受性のある抗生物質を投与することにより一般的には容易に治癒します。
しかしながら、抗生物質を服用すると、簡単に症状は消失するために不完全な治療のままで済まされてしまうことが往々にしてあります。
症状がなくなればそれで治ったというのではなく、原因菌を完全に殺してしまわないといけません。
このため症状がなくても、服薬は最低1週間は続ける必要があります。
もちろん原因菌に効き目のある抗生物質を服薬するわけで、これは尿を培養して確認する検査によらなければなりません。また、できる限り水分の摂取を増して、尿量を十分に確保することも大切です。尿を排泄することにより膀胱の中を洗い流すことになるからです。
特に膀胱炎に罹りやすい女性がいる
膀胱炎を何度も再発する女性がいます。決して不潔にしているわけではないのでしょうが、罹りやすい人がいるものです。外尿道ロの位置の問題があるのか、なんらかの防御機構が弱いのかも知れません。
膀胱炎の再発と性交渉との関係についても検討する必要があります。女性の場合には美容のためといっては寒い時期にも薄着をして腰が冷えたり、仕事が忙し過ぎて排尿を我慢し過きたり、生理のときの清潔さが損なわれたりするような場合にも、膀胱炎に罹ることがあります。
あまりにも度々再発するようでしたら、泌尿器科的な検査が必要になるでしょう。
腎孟腎炎による頻尿、残尿感
急性腎孟腎炎
急性膀胱炎が度々再発するとか、不完全な治療であるとか、膀胱炎のような下部の感染症が尿管を伝わって上部の腎孟などに波及すると急性腎孟腎炎という病気になることがあります。
急激な悪寒と発熱、腰痛、排尿異常、頻尿、残尿感などが主な症状になります。早期のうちに完全に治してしまうことが一番です。
慢性腎孟腎炎
—方、慢性腎孟腎炎では、あまりにも自覚症状に乏しいため放置されることになりやすいことが問題です。
せいぜいだるさとか微熱、腰痛くらいで急性腎盂腎炎のような発熱や著しい頻尿や残尿感などの排尿障害がみられないために放置されることがあります。
尿の変化も特徴的な所見に乏しいことが少なくありません。そのため長期化する危険性があるわけです。
慢性腎盂腎炎が長引くと、腎機能が徐々に低下して、尿濃縮力が障害されることが特徴です。
尿を濃くすることができず、最終的には腎不全に至ることになります。初期のうちから治療しておくことが望まれます。
また、慢性腎盂腎炎というのは細菌感染症によるものばかりではありません。カリウ厶欠乏症による腎障害あるいは薬剤による腎障害などの慢性の間質性腎症という腎臓の障害によっても同様の病像を示すことがあります。糖尿病の場合も腎盂腎炎を併発しやすいことがあります。