ここでは大人用おむつ、失禁パンツ、失禁用パッド・尿漏れ尿取り用パッド等の種類を比較し、メリット・デメリットを解説していきます。
大人用おむつと失禁パンツ
病院などで使用されている布カバーの中に使用されるドビー織りで平板の従来のオムツの他に、成形品で吸収性能を向上させたタイプのもの、軽度失禁に対応した失禁パンツなどがあります。
失禁パンツは男性用女性用があり、吸収量は50mL〜150mL、デザインも豊富です。布カバーも紙オムツ専用で下着のようなデザイン性に富んだのものが出るなど、種類が増えました。
おむつを使用する際は「QOL(生活の質)」「漏れの量」「皮膚障害」「介護者の負担」など考慮して選択します。通気性、吸収量を考慮した大人用おむつ、失禁パッドや尿取りパッド、などを選択します
パンツ型おむつ
「パンツ型」はパンツの形に一体で作られているタイプです。サイズ選択は「ウエスト」サイズで選択します。
下着のように着脱ができるので立位交換がしやすく、また、テープ型と比べ「オムツ」というイメージが軽減されますので排泄自立に向けて活用すると良いでしょう。
パンツ型おむつのメリット
- 下着感覚で着用できる
- 自力で動くことができる
- リハビリテーションを行うときに便利
パンツ型おむつのデメリット
- 尿を吸収すると歩行体制がとりにくくなる
- 体位によっては横漏れすることがある
テープ止め型おむつ
「テープ型」はオムツカバーとオムツが一体となった構造で、両脇をテープで止めるタイプです。開閉式なので、臥位(寝ている状態)での交換に便利であり、ADL(日常生活能力)が低く、寝て過ごす時間が長い方の使用に適しています。
サイズ選択は「ヒップサイズ』で選択します。テープ止めは可能で、パンツ型としても使用できる2WAYタイプもあります。
テープ止め型おむつのメリット
- 足を通す手間がない
- 吸収量が多い
- パッド型と組み合わせができる
- 寝たきりの人に便利
- 2WAYタイプは幅広く活用できる
テープ止め型おむつのデメリット
- 価格が高いものが多い
- ゴミの量が増える
フラット型おむつ
「フラット型」は平板なタイプです。紙オムツの中では最も古い歴史をもつ種類で、布カバーと併用して使用します。テープ型やパンツ型、尿取り用パッドの台頭により使用量は横這いです。体動が少ない人に適しています。
フラット型おむつのメリット
- 鼠径部が痩せていても体に合わせられる
- 吸収部分がカップになるように成形できる
- アウタ一と組み合わせて使用できる
フラット型おむつのデメリット
- あて方にコツがいる
ひょうたん型おむつ
ひょうたん型おむつは人間工学に基づいて裁断されたおむつです。パッド固定用パンツと併用します。
ひょうたん型おむつのメリット
- 体動していてもずれにくい
- 体を動かしやすい
- 吸収量のバリエ一ションがある
- 寝たきり、座位、立位、歩行レベルのそれぞれに対応できる
ひょうたん型おむつのデメリット
- 鼠径部のやせている人では漏れが起こることがある
ナプキン型おむつ
ナプキン型おむつは下着に固定するか、サブパッドとして使用します。吸収量、サイズなどさまざまなバリエ一ションがあります。失禁量が少ない人が基本的に選択します。失禁量が少ない人
ナプキン型おむつのメリット
- 外観に影響がない
- 自立度が高く
ナプキン型おむつのデメリット
- 尿の吸収量が比較的少ない
失禁用パッド・尿取りパッド
「失禁用パッド」は尿取り用パッドより小さく、吸収量も3mL〜300mLと少なめに設定されたタイプです。軽度の尿失禁への対処に適し、下着の中に入れて使用します。女性用・男性用があります。
「尿取り用パッド」はテープ型やパンツ型と併用して主に尿を吸収するタイプです。
女性用・男性用・男女兼用があります。大きさは38cm〜68cm、形は長方形やヒップワイド、吸収量は200mL〜2,000mLなど様々です。男性用は性器を包みこむタィプで、組立てて使用
するものとあらかじめ成形されているものがあります。
また、最近ではパンツ型専用パッドもあります。パンツに収まるサイズ形状で、着脱しやすい工夫がされています。
大人用オムツの使い方・注意点
大人用オムツは商品の種類が豊富で、商品特徴はパッケージやカタログ表記だけでは理解しづらい場合があります。
また、サイズや吸収量表示はメーカ一ごとに若干の差がありますので、商品情報の収集には各社ホ一ムページやお客様相談室(電話やメール)なども活用しましょう。
皮膚の状態に注意
尿失禁により皮膚が浸軟することで皮膚のバリア機能が破綻します。おむつ内は高温多湿の環境であるため、皮膚炎、真菌感染、褥瘡発生などのさまざまな皮膚障害を起こす可能性があります。
失禁がみられたときは早期におむつ交換、更衣を行い、皮膚の状態を観察します。特に、高齢者の場合、皮膚は脆弱であるため、清拭やおむつ交換などスキンケアを行うときはやさしくこすらないように行います。
無理におむつを勧めない
家族におむつの必要がありそうだと思っても、排泄の援助を受ける高齢者の思いを理解し、安易におむつ着用をすすめないようにしましょう。
おむつ着用を了承しても、自尊感情の低下や行動制限を生じていないか観察しましょう。
また、脳機能の低下、認知機能の障害があるときは尿意のサインがないか観察します(もぞもぞ、渋面、濡れたおむつを取り外す、ボケットに手を入れるなど)。尿失禁の回数を減少させるために、排尿パターンを把握し、排尿誘導を行いましょう。